NEW GLIDER FLIGHT REPORT
Report : Nobuyuki Nakano
TREKKING SUNBEAM


AB証から使えるスポーツ機だって・・・? 
 最近ニューモデルが追加された。"操作のイージーさを追求し、AB級からP証に至る全てのパイロットがトレーニングからソアリングまで楽しめるスポーツグライダー"というキャッチフレーズでリリースされたサンビームだ。もちろんAFNOR STANDARDを取得しておりファーストグライダーとしてもおすすめとのこと。初心者の為のファーストグライダーとして使え、かつP証まで楽しめるスポーツグライダーでもあるということだ。

 一般的にファーストグライダーに求められるポイントは操作が簡単でパイロットの操作ミスをある程度グライダーがカバーしてくれる安全性を備えていることだろう。しかし、全体の性能が良すぎると操作性が難しくなり、安全性もスポイルされる傾向となり、始めてグライダーを購入する初心者向きとはいえなくなってしまうことが多い。
 逆に上級者であるP証のパイロットにとってパラグライダーの楽しみ方はソアリングだ。滑空性能、浮きの良さ、旋回性、安全性とグライダーに求められる全ての要素に満足できる性能を持っていなければ中、上級者には見向きもされない。
 このようにファーストグライダー、上級者のスポーツグライダーには相反する要素が求められるのであるが、トレッキング社はニューモデルSUNBEAMにこの矛盾する特性を解決する提案をしてきたのだ。
 初心者からP証まで満足できるという同社のコンセプトとは何なのだろう。またこのサンビームがトレッキング社のコンセプトを本当に実現しているのかどうか見極めていきたい。

ライズアップの感じは思いっきり初級機
 投影で26,6u、Mサイズのキャノピーを広げてみてまず感じることは安心感のある大き目のエアインテークとこのクラスでは標準的なセル数だ。下面には透けるようなホワイトの生地を使い、上面はリーディングエッジから4分の一ほどをイエローの生地を用いてデザインをひきしめている。そして一枚ものの同系色の透かしが非常にきれいな2列のVリブを採用し、機体の剛性にも貢献している。またこのVリブは他の機体と同様にライン数減少に貢献し、太目の2.3mmボトムラインが3本ライザーにAからCまでそれぞれ4本、5本,7本と振り分けられて取りつけられている。もちろんアクセルは標準装備である。

 アクセルのストロークは10cmほどの間隔でAライザーに取りつけられた滑車による一般的なものだ。ハーネスにライザーを取りつけてこのまま平地で立ち上げを行ってみることにした。バックハンドでテンションを一定にし、エアーを入れてから立ち上げてみる。ゆっくりとあがってくるが非常にイージーだ。神経質に翼形を整えてエアー圧を一定にしてからというようなことは必要ないだろう。ラフに広げても基本どおりテンションをかけてあげれば問題なく上げきることが出来た。このクラスでは一般的な短めのボトムラインを採用していることも扱いやすさに貢献しているようだ。

 するするとあがってくる感覚がはっきりと腕に伝わってくる。左右のバランスの崩れも分かりやすく修正も簡単でこれはフロントで上げても同じであった。頭上でのキャノピーの止まり具合もいいところにセッティングされている。ただブレークコードのストロークは長めであり、これは、ただつめればいいというものではなく操作は若干大きめのストロ−クとなっている。ファーストグライダ−としてのパイロットの操作ミスをカバーしてくれるべき当然のラフな味付けといえるだろう。
結論としてこの立ち上げのラフさかげんに関していえば初級機と断言できる。

コンペ機といっしょに夢のサーマル共有体験
 フライトに移ろう。今回は機体も入れて総重量92kg、翼面荷重は3.46kg/uとなる。上限に近いほうではあるがちょうどいいところであろう。まずテイクオフに関しては先ほどの立ち上げと同じである。斜面においてもコントロールしやすく高高度フライトを始めたばかりのB級生にも問題なく扱えるレベルである。頭上で軽く押さえてテイクオフ。機体が安定して滑空しているのを確認して見上げてみる。最近のスポーツ機に多い長めのラインと比べて短くキャノピーが近く感じる。短い割にピッチ安定は非常に良くどっしり安定している。
 ターンは素直の一言だ。斜面でS字ターンを繰り返しているうちにあまり落ちないことに気がついた。他の機体と比べてもまったく同レベルにいられるのである。

 最近の機体はみな沈下率が良くなっているがスポーツ機やコンペ機と変わらないのだ。斜面のリッジでコンペ機と比較してみたが巡航スピードの違いと、ターンのロスが多少違う程度であった。またシンク帯ではスピードとぺネトレーションの差が少々ロスにつながってくるようであるが、全体の浮きの良さと低速を生かしてリフトを拾えるためほとんど高さでは差になって現れない。

 そのうちコンペ機がサーマルを見つけ旋回を始めた為、一緒に絡んでみることにした。センタリング特性は安定性が強いが体重移動と程よくテンションが強くなるブレークコードをしっかり引くことで狙ったラインを簡単にトレースできる。小さく回したいときはとにかくブレークコードを引けばいいという感じだ。スピードの速いコンペ機と旋回を合わすにはバンクを深くして半径を小さくしてやればいい。旋回中の浮き特性についてはそんなに違いはなかったが、バンクがかかっていることもありコンペ機にはじわじわと差をつけられるのはいたしかたないところだろう。サンビームの一面が少し見えてきた。ファーストグライダーでありながらコンペ機と一緒にサーマルを共有できるスポーツ機でもあるのだ。
 簡単で安定感のあるこの機体は荒れたサーマル条件下では絶対的な強みを発揮するはずだ。

 次にサーマルからはずれ直線飛行に移りアクセルを踏んでみた。30cm程のストロークをもつサンビームのアクセルは非常に軽く扱いやすい。いきなり踏んでみてもキャノピーがスーと少し前に移動するだけで確実にスピードがアップする。ぺネトレーションも申し分ない。40km/hを超えるスピードが出ているが滑空比もそれほど落ちてない。スポーツ機としての資格を持つ充分な性能だ。またキャノピーの安定が強くアクセルに神経質になる必要はほとんど感じられない。ラフに扱えることからフルに使いこなしたい。

安定性は講習機並み。
 ついでにフルアクセルから片翼コラップスを行ってみることにした。Aライザーのトップをつかみ一気に下へ引ききる。瞬間キャノピーが半分なくなり横を向いたところでつぶれが直っていた。あっという間であった。驚いたことにAライザーを引ききってもなお強いテンションが存在する。押さえてないと瞬間的にもどってしまうのだ。
 筆者が片翼コラップスで引ききってもなおAライザーにテンションを感じたのは過去に講習機レベルの機体しか記憶にない。

 左右の片翼コラップスを交互に繰り返してローリングみたいなことが出来てしまうのだからすごい機体である。
 ピッチ特性はラインが短いため敏感かと思ったが滑空させながらブレーク操作をラフに扱ってもキャノピーはほとんど動かない。ターンに入るときも気にする必要はほとんどないだろう。タイミングを合わして無理やりピッチング操作を行って始めて前後に動いてくれる。

 リラックスして飛びたい人に最後にランディングだ。滑空性能がいいため予想通りのびる。他のスポーツ機と同レベルというとろか。
 ただしフレアー操作は大きな許容性を持っているようだ。失速にも入りづらくフレアーの幅が広い為まず腰から降りてしまうことはないだろう。この点はまさしく初級機クラスであった。

 ヨーロッパではどこもランディング場が広いと聞く。誠にうらやましい限りではあるが日本でも広いランディング場を持つスクールでのB級生のファーストグライダーということであればこのグライダーは真価を発揮するだろう。
 あるいは精神と体に大きな痛手を負っているP証を持つサンデーパイロットのリハビリトレーニング機という使い方はいかがだろう。また飛び方を忘れてしまったようなめったに飛びに行けないフライヤーにも良く飛ぶやさしいグライダーとなろう。

 いずれにしても多くの一般的なフライヤーをカバーしてくれるリスクのないFan to Flyのコンセプトのもとに開発された先進のグライダーであることは間違いない。リラックスした楽しいソアリングライフを持てることは幸せなことなのである。

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